メゾン・ド・魔王の評価
駄文シリーズ第四弾。
本日レビューするのは「メゾン・ド・魔王」
私がプレイしたのは3DS版なのでレビューもそれについてのもの。
ニコニコ動画で、上品なことで有名な某実況者のプレイ動画がランキングに上がっているのを目にして、気になって調べたところ面白そうだったので、プレイしてみたが、果たしてどうだったのかと。
良い点
ゲームジャンル
私はタワーディフェンスが好きなのだが（と言うかリアルタイムストラテジー全般が好き）、このジャンルは日本であまり人気がないので、このジャンルのゲームを作ってくれたことだけで嬉しい。
更に、タワーディフェンス＋経営要素という組み合わせは初めて見たので、斬新だと思う。
作りが丁寧
ゲーム内のテキストだとか、種族ごとの特徴づけとか、世界観を構成する要素に関わるものについての作りが丁寧。
早送り
ゲームスピードを早送り出来るが、その速さが丁度いい。
大抵のゲームソフトの早送りは全然速くなく、それでやっと普通のスピードだったりするが、このゲームの早送りは機能的に十分。
悪い点
キャラが少ない
このゲームに出てくるモンスターは、種族が７つで、その中にそれぞれ全く違う４体のモンスターが属してるので、合計２８体。
数字だけ見ると決して少ないようには思えないが、問題は戦闘においてどのモンスターもグラフィックが違うだけでキャラ性能は殆ど同じところ。
基本的に攻撃パターンは近距離物理、遠距離物理、近距離魔法、遠距離魔法の４つのみ。これに攻撃速度をかけ合わせて、攻撃面での差異が作られている。
防御は物理に強いかどうかと、魔法に強いかどうかの２点だけ。
これらを掛け算してみる。
２（攻近遠）×２（攻物魔）×２（攻遅速）×２（物防強弱）×２（魔防強弱）＝３２
組み合わせだけで３２パターン。
２８体はこれらの内のどれかだと考えると少ないと言える。
グラフィックに手間がかかるから２８しか無理だと言うのであれば、同じグラフィックで色を変えるなどでも対応できるだろう。
アパート経営の面も合わせれば、種族ごとに魔王の好感度の上げ方が違ったりとか、魔族と亜人族とは共存できなかったりとか、モンスターごとに入居条件が違ったり（サキュバスはエアコンが無いと死ぬ等）、家賃の金払いの良い悪いがあったりとか、それぞれのキャラクターに差を感じることはできるが、そこで差を作ってもゲームの面白さには繋がってない。
タワーディフェンスとしてつまらない
タワーディフェンスの醍醐味はタワー（このゲームで言うモンスター）の様々な組み合わせを試しながら、試行錯誤を重ねて戦略を練るところにある。
このゲームはキャラ性能があまり変わらないので、組み合わせを考える必要はない。
放っておけば、どんどん住人は強くなるので、戦略ではなく力でゴリ押しすれば簡単にクリアーできる。
例えばの話、戦闘が全３フェイズあったとしよう（そもそもタワーディフェンスで３フェイズは少なすぎるが、このゲームは大体そんなもの）。
１フェイズ目は体力が低い大量の敵、２フェイズ目は飛行する敵、３フェイズ目は物凄く足の速い敵が来るとしよう。
そしたらこちらは、範囲攻撃が出来るユニットと、対空攻撃ができるユニットと、敵を凍らせて動けなくするユニットを用意しておこうとなる。
しかし、このゲームにそんな要素はない。
あるのは魔法攻撃と物理攻撃だけだ。
故に、ただパラメーターが高いモンスターを大量に用意しておけば勝てる。
具体的に言うと、全１６室に強いモンスターを住ませ、結婚・出産させて一部屋３人にして、MAX４８体で勇者をフルボッコにするだけのゲームだ。
ちっとも面白くない。
経営ゲームとしてもつまらない
経営ゲームの醍醐味は投資＆リターンだ。
例えば、最初は１日に１００円しか稼げないとしよう。
千円貯めて設備投資をすると、１日に２００円稼げるようになる。
しかし、２千円貯めて設備投資をすると、１日に５００円稼げるようになる。
だったら、千円の段階で設備投資をするのか、２千円貯まるまで待つのが良いか、そういうのを考えるのが、経営ゲームの楽しみ方だ。
このゲームは高い家具を買い揃えたところで、住人の給料に限界があるので、高額な家賃が取れず投資に対するリターンが得られない。
基本的に住人が欲しがる家具を買い与えてあげるだけだ。
また、経営ゲームにはシビアさも必要だ。
このゲームで言えば、魔王のアパートは土地に賃料が発生するので、効率良く稼がないと赤字になってゲームオーバーみたいなことだ。
勿論そんな要素もない。
メゾン経営にコストは一斉発生しないので、時間さえかければ所持金は確実に増え続ける。
頭を使う必要がない経営ゲームの一体何が楽しいのか。
まとめ
普通に遊べるレベルではあるが、すぐに飽きる。
後半は作業ゲー。
魔王が主人公ではあるが、ゆうなまほどのテキストセンスや戦略性もない。
面白いのはコンセプトだけ。
インディーズで８００円という値段を考えたらこんなものかもしれないが、ブラウザゲーム全盛期には、無料でこれよりも面白いタワーディフェンス系のゲームが沢山あったことを考えると、人にはおすすめできない。
普通のタワーディフェンスが難しくてできないという人になら合うもかもしれないが。