患者視点で考える腕の良い鍼師とは?
私はこの記事で小沢さんは鍼が上手いと書いた。
何を以てそう判断したのかと言うのが、今回の話。
鍼の上手さは刺激の強さ
鍼灸院を評価する上での指標を問われたら、大半の患者は、どれだけ痛みを軽減できたか、と答えるだろう。
例えば、老人が腰痛で鍼を受けた時、A鍼灸では3日間痛みが2割減、B鍼灸では5日間痛みが5割減だとしたら、B鍼灸の方が腕が良いと言っても良いだろう。
しかし、難治患者の場合はそう簡単にいかない。
痛みが一切軽減しないことがざらにあるからだ。
免許取りたての新人鍼師の施術を受けても、この道50年のベテランの施術を受けても、同様に痛みは全く減らなかった。だからその二人の鍼の能力は同じである。
こんな乱暴は判断はないだろう。
痛みの軽減率で評価できないなら、他にはどのような指標があるか考えよう。
次に思い浮かぶのは、筋肉のほぐれ具合だ。
筋硬度計やエラストグラフィーを使えば、筋肉のコリを視覚化・数値化できるので、施術の前後でどのくらい変化があったかが確認できる。
その結果を用いて鍼灸師の腕を比較すれば、とても分かりやすいだろう。
しかし、現実には難しい。
筋硬度計は、僧帽筋などの固さは計れても、深部の筋肉は計れないと思われる。
難治患者は深い場所へのアプローチが不可欠なので、表面的な筋肉しか計れないのであれば、不十分だ。
エラストグラフィーは、個人で買える値段ではない。
よって私は、鍼の上手さは施術の刺激の強さで判断することにしている。
客観性には欠けるものの、刺激(痛み)の強さは、他の感覚に比べて、自分中での数値化・比較がしやすいからだ。
トリガーポイント療法を行っている鍼灸院では、刺激の強さ=筋肉のほぐれ具合=痛みの改善率なので、原則としてなるべく強い刺激を与えるように鍼が打たれる。
であれば、刺激量から腕の良さを判断しても問題ないといえよう。
ただし、当然のことながら、北辰会のような刺激を与えることを目的としていない鍼灸院では、この指標は使えない。
今後そういった鍼灸院同士を比べる必要が出たら、その時はまた何か別の方法を考える。
小沢さんは鍼が上手いと思った理由
私が初めて受けた鍼がきたの鍼灸院整骨院だったので、そこの刺激量を100とする。
そこには何人か鍼師がいるが、私は主に店長が担当してくれたので、その人の腕が100だ。
一度、きたの鍼灸で一番若い青年の鍼を受けたが、店長の鍼とは明らかな差があった。
彼は80だ。
他にも2人から鍼を打たれたが、やはり店長が一番上手かった。
鍼と言うのは、弓道のようなもので、正鵠に当てなくても点数が貰える。
トリガーポイントのど真ん中に当たらなくても、それなりの刺激は発生するからだ。
しかし、中心から外れれば外れるだけ、刺激量は減るので、強い刺激を与えたいのであれば、正確に点を捉える腕の良さが必要だ。
店長と若手のヒット率の差がその20。
では、小沢さんはどうかと言うと、200だ。
何故ここまで劇的に上がるのかと言えば、打てる箇所が多いからである。
極端な例だが、体にトリガーポイントが10あるとする。
その内5は比較的表面で、残り5は深部。
トリガーポイントが体の奥にあるほど、そこに正確に鍼を刺すのは難しくなり、内臓の近くであれば、それだけリスクも高まる。
鍼を10本使うとしたとき、表面にしか打てないのであれば、多くとも最大値の半分までしか刺激を与えることができない。
チェーン店レベルのきたの鍼灸では、深部のトリガーポイントは狙わない(狙えない)。小沢さんは打てる。しかも、ちゃんと中心に当てられる。
だから私は小沢さんが上手いと書いたのだ。
「いやいや、敢えてやらないだけで、きたの鍼灸の店長だって、小沢スタイルでやればもっと刺激量を増やせるでしょ。10本も打たないきたの鍼灸と、30本打つおざわ鍼灸を単純比較して、それで小沢さんが上手いと言い切るのはどうなのよ」
そのような反論もあるだろう。
私もそう思った。
だから最後に、おざわ鍼灸で佐藤さんと言う別の鍼師の施術を受けて、比較をしてみた。
新人鍼師、佐藤さんの実力
佐藤さんは、ほぼ毎回施術後の鍼抜きとマッサージをしてくれていた、当時鍼灸専門学校生で、私がおざわ鍼灸の通院をやめると決めた丁度その時期に、晴れて試験に合格して、私に鍼を打ったのは鍼灸免許取り立て一週間くらいであった。
全くの新米鍼師と、小沢さんの間にどのくらい差があるのか。
鍼灸師になったばかりとは言っても、学生の内からおざわ鍼灸でバイトをしながら、小沢さんに鍼の技術を教えられて、すでに何年か(多分2年だったと思う)経っている。
「同じ治療スタイルなら、ぶっちゃけそこまで差無いんじゃね?小沢さんって口だけっぽいし」
100回も通って治らず、不信感がピークに達していた私は、そんな風に思いながら、実力差があまりないことを確認して、小沢さんをこき下ろしてやるつもりでいた。
小沢さんの鍼の腕を10とするなら、佐藤さんはすでに6くらいあるんじゃないかと、期待込めて施術を受けた。
するとびっくり、悲しいくらいトリガーポイントに当たらない。
佐藤さんは、小沢さんのように深部の筋肉は危ないから打てないので、腰回りをメインにしたいと提案してきて、私は了承した。
おざわ鍼灸で腰の治療は、途中お試しで数回しか受けておらず、十分に凝りが残っている状態なので、佐藤さんでも簡単にできると思っていたのだが。
小沢さんが10なら、佐藤さんは2だった。
治りこそしなかったが、それは私の症状が極端に難しかっただけで、やはり小沢さんは上手かったのだ。
私が鍼を打たれた感じ、きたの鍼灸の新人よりも佐藤さんの方が上手かったことから考えると、世の中の平均的な鍼師と比べて、当時32歳でこれだけトリガーポイントに当てられる小沢さんは、確かに腕は良いのだと認めざるを得なかった。
だから私はこのブログでそのように書いたのである。
もしも、きたの鍼灸のレベルが平均よりも遥かに下であれば、小沢さんが上手いとは言えなくなるが、その可能性は低いだろう。
そこそこ繁盛していて、分店を展開できるまでのきたの鍼灸。私の祖母も父もここで治療を受けてはっきりと効果が表れていることからも、平均以下だとは到底思えない。
よって、小沢さんは上手い。もっと上手い人を見つけるのはかなり難しい。
それが今から3年前に出した結論だった。
ちなみに、どうでもいい話だが、佐藤さんの施術でも、小沢さんと同じ料金6000円をきっちりと取られた。
多少負ければいいものを、どうせもう二度と来ない患者なのだから、取れるだけ取っとけという事なのだろう。
もっと上手い人がいた
それが東京つばめ鍼灸。
きたの鍼灸が100、おざわ鍼灸が200だとすれば、つばめ鍼灸は250~300だった。
幅があるのは、最初は弱い刺激で始めて(この時点でもうおざわ鍼灸よりも上だが)、患者の治りが悪ければ、だんだんと強くしていくからだ。
おざわ鍼灸とつばめ鍼灸の比較として、私は小沢さんの施術を受けるとき、後半は鍼の一本一本に以下のような点数をつけて、打たれる度にそれを告げていた。
1点:響きなし
2点:軽い響き
3点:普通の響き
4点:強い響き
5点:苦痛を感じるほどの響き
初期は1回の施術で5が1本出ていたが、後半は5回やって1本も出ないことが普通であった。
30本の内訳は
1点:0~5本
2点:2~8本
3点:10~15本
4点:5~15本
5点:0~2本
大体こんなだった。
なお、きたの鍼灸では4以上は出ない。
つばめ鍼灸では初回から10本以上5が出た。
それよりも強い刺激の、
6点:耐え難い苦痛を感じる響き
もあった。
更に、太さ2倍の鍼を使えば、もっと刺激が増やせると言われたが、流石に怖くて試す気にはならなかった。
これらのことから、完全につばめ鍼灸の方が上だという事が分かる(しかも、おざわ鍼灸より料金が安い)。
東京つばめ鍼灸>国立おざわ鍼灸
このブログは何故か小沢さんのことが嫌いな人が多いので、不要だとは思うが、想定反論集。
Q:刺激が強すぎると患者が逃げるから、小沢さんはわざと弱めに打っているのでは?
A:私に対しては手を抜く必要がない
Q:使ってる鍼が違うのだから、それだけは腕の比較はできないのでは?
A:道具選びも腕の内
Q:つばめ鍼灸の方が本数が多いから、刺激量が多いのも当然では?
A:沢山鍼を打てる集中力も腕の内
Q:3年も経っているのなら、小沢さんはあの頃よりももっと上手くなっているのでは?
A:腕を磨くよりブランディングの方で忙しそう
今となってのおざわ鍼灸への感想は、以前の記事とは全く異なるもので、はっきり言ってあそこに週2で1年も通ったのは大失敗だった。
私と同じ失敗を他の患者が繰り返さないことを望む。
まとめ
症状が治らない場合、鍼の腕は刺激量で評価する。
おざわ鍼灸に行くよりつばめ鍼灸に行こう。
今後、もし他のトリガーポイント系鍼灸に行ったら、その点数も書くつもり(多分もう行かないけど)。